|
Enterprise Objects Framework(EOF)とは、1994年にNeXTのNeXTSTEPおよびOpenStep向けに導入された初期のオブジェクト関係マッピング製品である。EOFは関係データベースとのやり取りの過程を抽象化し、データベース内の行をJavaやObjective-Cのオブジェクトにマッピングする。これにより、開発者は低レベルなSQLコードを書く作業からほぼ解放される。EOFは1990年代中盤に金融関係でそれなりの成功を収めた。1996年に NeXT がアップルコンピュータに吸収合併されると、EOFはアップルのアプリケーションサーバ WebObjects の一部として統合され、同製品の特徴とされるようになった。 == 歴史 == 1990年代初期NeXTは、データベース利用が多くのビジネスにとって基本であり、かつそれがかなり複雑であることを認識していた。データのソースが違えばアクセス言語(あるいはAPI)も違うため、学習に要するコストや各社製品を使うことによるコストが問題となっていた。NeXT の技術者はオブジェクト指向プログラミングの利点を生かし、オブジェクトに関係データベースと対話させようと考えた。オブジェクト指向と関係データベースは全く異なる技術であるため、何らかの抽象化層を作る必要があると考えられた。それによって、開発者が低レベルで各データソースに固有な手続き的コード (SQL) を書くことから解放されるのである。 最初の試みは1992年にリリースされた Database Kit (DBKit) であった。これはオブジェクト指向フレームワークで任意のデータベースを覆ってしまおうというものである。しかし、当時のNEXTSTEPの性能が足りず、DBKitの設計は実用には向いていなかった。 1994年にNeXTはEnterprise Objects Framework (EOF) バージョン 1をリリースした。DBKitよりさらに強力だが、基本的な考え方は変わっていない。 その後根本的に書き換えを行って、モジュール性を強化しつつOpenStepにも対応させ、1995年後半にEOF 2.0がリリースされた。EOF 2.0はNeXTがFoundation Kitを使った初の製品であった。開発チームはたった3人で構成されていた (Craig Federighi, Eric Noyau、Dan Willhite)。 EOFは1990年代中盤に金融業系のプログラミングである程度の人気を得たが、やがてWorld Wide Webの成長とウェブアプリケーションの概念が生まれたことで本領を発揮することになった。EOFを使えば、古いデータベースを全くいじらずに、そのデータをWebに利用できることは明らかだった。EOFを核とし、状態管理、負荷分散、動的HTML生成などのフレームワークを追加して、NeXTは1996年に世界初のオブジェクト指向アプリケーションサーバWebObjectsをリリースした。 2000年、アップルコンピュータはEOFを独立した製品とし、Mac OS Xでのデスクトップアプリケーション開発に利用できるようにした。ただし、同時にWebObjectsの主要コンポーネントとしても使われ続けている。2001年にリリースされたWebObjects 5では、そのフレームワークをObjective-CからJavaへ移植した。この変更に批判的な人は、EOFの能力の大半がObjective-Cと深く結びついており、Javaへの移植によってEOFが持っていた美しさと単純さが失われたと指摘している。サードパーティのツール(EOGeneratorなど)は、Objective-CとJavaの差異を埋める助けとなる(主な問題は、カテゴリ機能が無くなったことに起因する)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「Enterprise Objects Framework」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|